罪恋×2/3

——いつからだったのだろう。
この焦がれた想いを抱いていたのは。

麻保志学園に通う水沢光一は、未だ初恋を引きずっていた。
それもそのはず。その想い人は幼い頃からずっと傍に居るのだから。

……その日は雨が降っていた。

光一は、義理の妹である水沢めぐりとひとつの傘に入りながら、帰路についていた。

突如として、背後から地面を強く叩いた音が響く。
雨音ではない、何か重い物が頭上から落下したような音。

——振り向いてはいけない。

そう、勘が告げていたはずなのに。
それ以上に、好奇心が勝ってしまった。

雨に打たれているソレから、血溜まりがリアルタイムで広がっていく。
光一も、めぐりも、血に塗れた女子生徒をよく知っていた。

夢見レイナ——彼の幼馴染にして、彼女の親友だったのだから。
そしてレイナが屋上から落下してきた、数日後。
自殺か他殺か、それとも事故なのか……それすらも分からない現状。
レイナは生死の境を彷徨いながら、目を覚ます様子は無い。

幼馴染の突然の出来事に、焦燥する光一とめぐり。
そんな二人の前に、病院の治療室で眠っているはずのレイナが現れる。

驚く二人に、いつもと同じような能天気な声でレイナが告げた。

「いやぁー、死ぬかと思った」、と。

生霊として、二人の元へ戻ってきた幼馴染。
しかし、事故当日の記憶は失っているらしく、落下した原因は不明なまま。

失くした記憶を取り戻せば、レイナの意識が戻る。
そう考えた3人は、レイナが屋上から落下した原因を探ること決意するのだった。

3人の恋と、3人の罪。
3/3の想いが交錯し合い、蜘蛛の巣のように絡まっていく。

それが白日のもとに晒された時、彼と、彼女はどういう決断をするのだろう?